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院長ブログ

認知症患者さんの世界

2020年3月20日

最近、来院してくださった、認知症の患者さんをみて考えたことがあります。

 

私、認知機能障害で通院されている患者さんを診察するとき、まず、本人に、「最近、何か気になるニュースはありますか?」とお尋ねすることにしています。

 

すると、コロナウイルスのことを答えてくれる方は意外と少ないんですね。

 

「何かの病気だったっけ?」と答えてくれる人はまだ「よくできました💮」のうちですが、全く答えられず家族のほうを振り向いて「何かあった?」と振り返る人がほとんどです。

 

先日はお相撲好きのお年寄りがいて、「相撲のこと?」と言ってきたので、「おぉ、この人はできる!」 

と思ったのもつかの間、「稀勢の里や安美錦、頑張ってるもんね」とお答えになりました。

 

私そこでちょっと考えました。

 

認知症になられた方は、自分の世界に入っておられる。

 

世の中がそわそわしたり心配したりすることは、全く気にも留めず、自分の世界を楽しんでいる。

きっと、ストレスもなく幸せなんだろうなと思いました。

 

先ほどの相撲好きの方は、今でも、稀勢の里VS安美錦の一番を見ていて、応援しているんだろうな、楽しそうだな、と感じました。

 

その認知症患者さんの世界を邪魔したり、否定してはいけない。

 

そんなことをすれば、私たちを敵だと思って、認知症の方はイライラして怒ったり、私たちから出て行ってしまったりしてしまうのだ、と思うのです。

 

認知症の人から見たら、私たちのことを宇宙人だとか、むしろ私たちのことを認知症だ、と思って見ているかもしれません。

 

だから、お話している間だけでも、患者さんの世界に自分も入っていけるようにしなければなりませんな。

患者さんの世界を探検するつもりで。

 

そうすると次にあったときは、患者さんは私を友人と思って、覚えていてくれるのです。

もちろん僕の名前までは思い出してくれなくても、同じ世界にいる仲間だと認識してくれて、仲良くしてくれる、と思います。

 

そうはいっても、長い時間一緒にいて介護していらっしゃる、ご家族や介護職の方は大変でしょう、頭がさがります。

 

でも愛情をもって、認知症患者さんが粗相しても受け入れてあげて、患者さんの世界に入って、患者さんのお仲間に入ってしまえば、こちらのもんです。

 

患者さんの世界をわくわくと探検する、と思えば認知症介護も少しは楽しいものになりませんかね。

 

本日は生意気なことを言ってしまいましたね。

でも私はこのスタンスで、認知症患者さんに接していこうと思っています。