24日にあった、個別指導の話です。
24日はクリスマスイブだというのに、浮かれた気持ちにもなれずに、久しぶりに緊張した朝を迎えました。
いつもより早く病院に行き、指定された患者さんのカルテを最終チェックしました。
どんな症状で患者さんが来院されて、どの疾患の可能性を考えて、どういう検査をして、結果はどうだったか、そして治療方針はどうしたか・・
そのようなことが、毎日秩序だててきちんとカルテに書けているか、誤字脱字はないか。
準備万端整えて、午前診療後に名古屋の栄の会場に向かいました。
地下鉄浄水駅から上前津経由で栄に到着するまで、約45分くらいかかったでしょうか、その間ずっと緊張していたようで、あまり記憶がありません。
予定時間の2時より15分ほど前に栄駅に着くと、中日ビルの近くの「愛知県医師会館」を目指しました。
医師会館の看板が見えたので、「よし!行くぞ!」と小さく自分のなかで気合を入れて、このビルの8階の会場にむけて、エレベーターに乗り込みました。
ところが、8階に降りたところ、着物を着たおばさんたち、いや女性がたくさんいらっしゃるので、あれれ?と思いました。
会場が違うのか、いや確かに8階だし・・
女性たちに囲まれて、「きもの教室○×展示会」という看板があるだけで、面接会場らしき緊張した雰囲気の場所が、どこにもないではありませんか。
おかしい、おかしいと思いながら、おそるおそる着物姿の女性に声をかけてみました。
「あのぉ、ここは医師会館ですよね??」 「違いますよ、お隣のビルです。イヤだぁ、ほっほっほー」 っと一笑に伏せられてしまい、思わず赤面してしまいました。
慌ててエレベーターを降り、隣のビルに向かいました。
ヤバイ遅刻かと思い、いつものように冷や汗を垂らしながら、医師会館8階に降り立つと、さっきとは打って変わって緊張した雰囲気が漂っていました。
係りの人に、前室で待つように言われ、椅子にこしかけると、再び手綱を締め直す間もなく、入室するよう案内されました。
あんなにも緊張していたはずなのに、きもの展示場の一件で、一気に緊張の糸が切れたまま「個別指導」が始まったのです。
案内された椅子の前には、まさに医師会の重鎮と思われる先生がお二人、厳しい表情で座っていらっしゃいました。
厳かな雰囲気の中、患者さんのカルテチェックが始まり、この検査結果が書いてないとか、これは保険点数が間違ってるとか、一部指摘を受けました。
しかし、おおむね合格だったようで、1時間の予定が40分で終了しました。
個別指導が終わったとき、重鎮のお二人に、「このあとも個別指導がつづくのですか?大変ですね、お疲れ様です。」と愛想をふりまきました。
すると、初めてお二人とも柔らかい顔になって、「先生はカルテきちんと書いてありますよ、だからスムーズに終わった。僕たちも次の人の指導までに休憩時間ができてよかった。この調子で頑張って。」と言われ、一気に浮かれた気分になり、ホッとして会場を後にしたのでした。
予定よりも早く終わったため、午後の診療時間に遅刻することもなく、クリニックにたどり着きました。
地下鉄ではずっと、うす笑いを浮かべていたので、他の乗客に、変なおじさんと思われたかもしれませんけど、本当にうまくいってよかった。
無事に終わったことが、自分にとっての最大のクリスマスプレゼントだったのかもしれません。
その夜は枕を高くして寝て、翌25日の診療も順調だったのですが、夕方に思わぬ大失敗をしたのです。
25日の午後の診療が始まったとき、あるスタッフに、「今月の給料がまだ振り込まれてないんですけど・・」と指摘されたんです。
あっ!忘れてた!と思ったときには、時すでに遅し。
当院は25日に給料振込なのですが、すぐにパソコンから振込の操作をしたところ、銀行からの振込は29日になってしまい、4日も遅れてしまうことになったのです。
今週は個別指導のことで頭がいっぱいで、すっかり忘れていました。
しかも、今月は10日に賞与の振込をしたので、それで今月の給料は払った気になっていたのも悪かったのです。
とは言っても、経営者としての自分がすべて悪いのですから、スタッフひとりひとりに、「すみません、すみません」と平謝りして回りました。
経営者としては失格ですね。以後絶対このようなことのないようにします。
でも、優しい優しいうちのスタッフの方々は、快く(?)許してくださったのです。
そして、再び当院の絆は深まったのでした。
(と私は都合よく考えています。)