二週間前の話ですが、日本頭痛学会主催の頭痛の勉強会(Headache Master School Japan)に出席してきました。
昨年につづいて二回目の参加です。
昨年は、頭痛専門医をとるために、仕方なく出席したというのが本音でした。
かつて脳神経外科勤務医時代の私は、頭痛の患者さんが診察にいらっしゃると、まずCTやMRIをとって、何も異常がなければ、よかったねと話して頭痛薬を処方して、帰っていただいてました。
命にかかわるような、あるいは後遺症が残ってしまうような重大な病気さえなければいいでしょうって考えていたのです。
でもそれでは頭痛に悩んでいらっしゃる患者さんの本当の解決にはならないと、数年前にようやく気づき、頭痛患者さんに一緒に向き合わなくてはならないと感じるようになりました。
今回は前回と違って真面目な気持ちで出席して、さらに頭痛って奥深いなぁって感じました。
私が、頭痛患者さんに対して、どうしたらいいだろうかと悩んでいたことは、他の頭痛診療に携わっている医師たちも悩んでいる問題だとわかりました。
小児の頭痛患者さんは、学校や家庭の問題など心理面の影響が重要であるが、これを解決するにはどうしたらいいか。
痛みで目が覚めてしまう睡眠時頭痛(目覚まし頭痛)にはどう対処したらいいか。
すぐに頭痛薬にたよってしまい、症状が悪化してしまう薬物乱用頭痛の患者さんを、どう指導していったらよいか・・などなど。
特に興味深く拝聴させてもらったのが、片頭痛の講義をされた某大学病院の脳神経外科教授のお話です。
片頭痛患者さんは、特に五感が敏感で、運動で悪化・光や音に過敏・加齢臭などの匂いで悪化するとのこと。
今までも診察中に、そのようなことは感じてはおりましたが、あらためて、なるほどなぁと思いました。
汗っかきの私は、特に足がむれてしまうので、裸足で通気性のよいシューズを履いて診察しているのですが、そうしていると何となく足が臭いと、感じておりました
この講義を聞いて帰ってきてから、片頭痛の患者さんが診察室にはいってきたら、さぞやこの匂いで症状が悪化したでしょうに、と心配になりました。
そして、自分の部屋で、さっそくシューズにリセッシュを吹きかけたのでした。
しかし吹きかけても吹きかけても、匂いはなくならず、さらにひどい匂いになってきて、自分でも吐き気がするのようになったので、ついに洗剤でゴシゴシと洗って干したのです。
今は匂いはありません。片頭痛患者さんも安心して診察をうけていただけます。
結論として、私が得たことは、片頭痛患者さんを診察するためには、患者さんにあわせて自らも五感をするどくして、患者さんを気遣っていかなければならないってことですね。
大変勉強になりました。