前回の認知症の話の続きになってしまいますが、
先日、医療関係者むけの講演会を頼まれまして、僭越ながら講演をしてまいりました。
講演会と申しましても、大勢の聴衆を前に話すのではなく、webで配信ってやつです。
web講演会って、今どきのはやりですな。
お題は、「認知症に伴うBPSDへの対応」
講演といっても皆さんを前に話をするのではないので、あまり緊張もしないんですが、今回は何しろ、自分の専門外ですからね。
わたし、精神科専門医でも神経内科専門医でもないので、ちょっと、いや、けっこう勉強しました。
BPSDって、何のことかわからないですよね。
実は自分も講演頼まれるまで、何の略語か知らなかったんです(^^;)
そもそも認知症は、認知機能障害(中核症状)と、行動・心理症状(周辺症状)があるわけです。
認知機能障害は、物忘れが出てきたり、物事を考えて行動したり、秩序だってお話できなくなったり、時間や場所の認識ができないといった症状です。
その認知機能障害に伴う行動・心理症状のことを、BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ぶわけです。
平たく言えば、認知症の患者さんが、そわそわしたり、イライラして暴言はいたり、どこかに出て行ってしまったり、お金取られたと被害妄想を訴えたり、そういった異常な行動のことです。
BPSDはどうして起こるのか。
生理学的に脳は、感情をコントロールする、大脳の前のほうにある「前頭前野」と、感情を出させる「偏桃体」があってバランスが取れているのだそうです。
しかし、脳が衰えてくると、感情を抑える機能がある「前頭前野」の機能が衰えてきて、情動や衝動に関連する「偏桃体」の機能が、強く働いてしまいます。
そのため、認知症の人は、感情がむき出しになってしまいます。
そして認知症の人は不安感からそわそわしたり、不快感からイライラしたり、さらには被害妄想や暴言・暴行といった行動異常がでたり、しまいには無関心になり、何もする意欲がなくなったりしてきます。
BPSDは、環境の変化、たとえば病院や施設に入院・入所したり、介護者やまわりの医療従事者のちょっとした冷たい態度などで、発症・悪化します。
そうなってくると、介護している人たちも、患者さんたちにどう向き合っていくか、大変な問題ですよね。
BPSDの状態が悪くなると 介護者もいらいらがつのって、冷たい態度になり、さらにBPSDを悪化させ、悪循環になります。
認知症におけるBPSDをどうやって治療していくかは、重要なテーマです。
まずは、薬物を使わないで、経過をみていくことですが、
具体的には、患者さんを1人にさせない、寂しい思いにさせない。
介護者は、患者さんに優しく接する。
環境を変えてしまうような 不必要な入院や入所をさせない。
規則正しい、生活や食事や、薬品の提供を行うなど。
これらが崩れると、BPSDを発症、増悪させてしまうのですね。
非薬物療法でうまくいかず、行動心理症状が悪化すれば、向精神薬や眠り薬の使用をせざるを得なくなります。
でもそういった薬は、副作用が心配です。
震えや、歩行障害といった、症状(錐体外路症状)がでたり、
ふらつき ねむけがでて、動けなくなったりすると、さらに足腰が弱ってくるのではないか、、
今回は、そういった副作用が少なく、薬のさじ加減によってはBPSDの症状を減らして、認知症患者さんを正常の精神状態にもどさせる、ある薬を処方した経験について、お話させていただきました。
なんという薬かは、宣伝になるから言いませんけどね。
実際その薬を、BPSD症状がでた認知症の患者さん30人に、処方した経験ついて、報告しました。
結果は30人中18人ちょうど60%の患者さんが、症状がよくなり、副作用もなかった、という結果であります。
私は、微力ながら、これからも認知症の行動・心理症状で困っている患者さんの、診療にあたってまいりたいと思います。









