先日、14日の水曜日に講演を頼まれまして、医師向けの講演をしてきました。
テーマは、「CGRP関連製剤を活用した片頭痛治療戦略」。
このところお決まりの片頭痛についてです。
製薬会社が、薬の宣伝をかねて、講演会を企画して、その流れで頼まれたので、立派なもんじゃないんですが、医師の方々に聞いていただくからには、学術的な話もしなきゃいけないし、結構以前から準備を進めてまいりました。
とはいえ、昔っからテストでもなんでも、直前にならないとエンジンがかからないんですよね。
この1週間は、この講演会のことで頭いっぱいでした。それまでは、時間があるからまあいいか、ですましてましたが。
それで、またまたブログ更新が遅れてしまい、申し訳ないです。
ところでその講演の話ですが、このところ4-5回同じようなテーマで講演をしていますので、いつも同じような話で同じスライドで、ってことになっちゃうんですよね。
主催者側は、講演ごとに聞く人が違うからいいですよ、っていうのですが、座長や司会をしてくださる先生はいつも決まった先生ですから、その先生たちにも、またかよ、って思われるのもイヤですし。
だいぶ悩みましたね。
ところで、CGRPですが、Calcitonin gene-related peptide の略でして、、、何のことかわからないですよね。
痛みを脳に伝える途中の伝達物質で、いわば痛み信号の運び屋です。
片頭痛患者にとっては、まさに嫌な奴らでして、こいつらを邪魔するものがあれば、頭痛が起こらなくて、都合がいいわけです。
その邪魔する薬が、抗CGRP抗体とか、抗CGRP受容体抗体っていうものです。
この薬の作用機序を説明するとき、いつも難しい話は抜きで砕けた話にするため、ラグビー選手に例えるわけですが、今まではトヨタヴェルブリッツ・ラグビー部の選手の写真を勝手に引用していたわけです。
でも今回は、私の大学ラグビー部時代の写真を出してきて、私が抗CGRP抗体製剤、相手が痛みの運び屋であるCGRPに見立てて説明したのです。
なんと、約40年も前の写真ですよ。
このころは若くて体力もあり、希望に満ち溢れていたなぁ、って思いながらスライドに私の写真を出して、ウケを狙ったのです。
あとで、主催者側の人から、今と変わらず面影がちゃんと残ってましたよ、って言われて、ちょっとうれしかったです。
結局、話の主題についてですが、
「抗CGRP製剤は、片頭痛患者さんにとってもよく効いて、副作用もなく、いい薬です。ちょっと値段はお高いですが、それだけの価値はあります」
では、いつもの話で終わってしまうので、今回はうまくいかなかった人たちの話をしました。
100人くらいの患者さんにこの薬を使って、効果なく辞めてしまった人が9人いました。
そのほとんどのひとが、注射したあとも、頭痛薬の使用が減らなかった患者さんでした。
頭痛の程度がよくなったり、頭痛薬を飲めばスッと効くようになったのに、頭痛薬の数が減らないと、結局片頭痛がよくなった感じがしない、とおっしゃいます。
弱い頭痛なら、頭痛薬を飲まずに我慢してもらえば、きっとよくなったと感じられたのでしょうね。
なんとかそんな患者さんたちに、抗CGRP製剤の力を信じて、軽い頭痛は我慢して、頭痛薬を飲みすぎないようにしましょう、と説得していくことが大事であると思いました。
そうすれば薬物乱用から脱却できて、片頭痛が治る日がくると思います。
それから注射が効かないからと、あっさり諦めてしまうのは、男性に多いようです。
男性は、頭痛ごときに高い値段払っていられない、って経済観念も強いようです。
何とか、患者さんの身になって、経済的なことまで相談にのってあげなければなりませんな。
ということで、結論は、抗CGRP製剤を使用することによって薬物乱用を防ぎ、片頭痛の治癒を目指しましょうってことでした。
最後に、スライドで出した写真ですが、私の姿わかってくださいましたか?