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院長ブログ

抗CGRP抗体製剤について

2021年9月11日
ご存知のかたもいらっしゃると思いますが、最近画期的な、慢性偏頭痛予防薬が発売されました。
 
抗CGRP抗体製剤という注射薬で、エムガルディ・アイモビーク・アジョビという3種類が発売されました。
 
 
本来、頭痛治療は、痛みどめで打ち消すものではなく、予防することが大切です。
 
抗CGRP抗体製剤は、月一回うつ注射ですから、特に予防薬を飲む必要もなく、片頭痛が抑えられのです。
 
しかもほとんど副作用がありません。
 
まさに片頭痛がしょっちゅう起こって、困っている人にとっては、画期的な薬です。
 
以下、この抗CGRP抗体製剤について、今回はいつもとちがってアカデミックに述べたいと思います。
 
 
抗CGRP抗体製剤の作用について
CGRPとは、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの略です。
 
といっても、何のことわかりませんよね?
 
CGRPは感覚神経の先っちょに存在する、ペプチドというアミノ酸がたくさん結合した物質です。
 
感覚神経の一つである、三叉神経が何らかの原因で刺激されると、この神経の先っちょからCGRPが出てきます。
このCGRPが、頭の血管、特に脳の外側を覆う硬膜の血管を拡張させ、さらに血管周囲にある別の三叉神経が炎症を起こします。
そのため、硬膜の血管周囲の三叉神経が刺激されて、ズキンズキンと拍動するような痛み、つまり片頭痛が起こるといわれています。
 
なんだかわかったようなわかんないような・・
 
この図を見てもらえたら少し理解できるかもしれません。(インターネットから勝手に引用しました、すみません。)
片頭痛の発症と三叉神経血管説:CGRPが関与している
 
 
抗CGRP抗体製剤は、このCGRPの働きをブロックして、血管を拡張させないように働くため、片頭痛が起こらなくなる、というのです。
 
かみ砕いていえば、頭痛を起こさせる物質を 痛みを感じさせる神経に届かないようにブロックしてしまう、いわば、麻薬の密売人を捕らえる、FBI捜査官みたいなものです。
(最近、アメリカのFBIを題材にした海外ドラマにはまっているので、ドラマの見過ぎかもしれない(;^_^A)

 

抗CGRP抗体製剤の効果と欠点

薬の特徴として、慢性偏頭痛のひとに投与すると、偏頭痛の頻度は半分程度にへり、頭痛の強さもグッと減るようで、しかもたいした副作用もなく、皆さんから良くなった、と好評です。

 
しかし一番の欠点は値段が高いことです。
 

その理由は、この薬は「モノクローナル抗体製剤」といって、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して生産する必要があり、化学合成薬(普通の薬)と比べて、どうしても高価になってしまうそうです。

 
また、ここが重要ですが、どんな頭痛にも効くわけではなく、片頭痛の特徴がはっきりした人にしか効果がみられません。
 
頭痛の人に多い、筋緊張性頭痛(肩凝りからくる頭痛)には効果がありません。
 
よって、高いお金払って、効果なしでは申し訳ないので、はっきりとした片頭痛がしょっちゅう出て困っている、と診断された人にのみ、注射されるべきお薬です。
 
何しろ高価な薬ですから、まず従来の安価な片頭痛予防薬(てんかんの薬や血管に作用する薬、抗不整脈薬等)をいくつか試してみて、どうしてもきかない場合はこの注射を投与してみます。
 
こうした理由で、抗CGRP製剤は頭痛診療に慣れた医師でないと、投与できません。
 
 
当院での経験
当院では、まだ10人ほどの患者さんですが、よく適応を検討したうえで、この注射を投与させてもらいました。
 
今のところ皆さん副作用もなく、またよく効いているようで、頭痛薬が減ったとか飲まなくてすんだ、といった感想いただきました。
 
なかには最初はきかなかったけど、二か月目から効いた、という人もいましたが、全般的に効果のほどは良いようです。
 
 
以上まとめますと、
1 慢性片頭痛と診断され、従来の経口片頭痛予防薬が効かない人に、適応がある。
2 副作用も少なく、効果も十分期待される。
3 値段は高くて、可愛くない。
 
 
頭痛に苦しんでいる皆様、よろしければ、一度診察に来ていただきたいと思います。
 
そして、本当に片頭痛なのか、緊張性頭痛など他の要因がないのか、判断させていただき、場合に応じてこの薬を投与させていただきます。
今後も、こうした経験をもとに、片頭痛に苦しむ皆さんの、一助になれば幸いと考えております。