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愛知県豊田市浄水町伊保原173-1

院長ブログ

救急事故対策訓練

2016年11月18日
昨日は、「集団救急事故対策訓練」が、浄水交流館で行われました。

イベント会場に暴走車が突っ込み、多数のイベント参加者をはね、20人以上が怪我をした、という設定で訓練がおこなわれました。

私は、その会場ではただの見学者なのですが、訓練後に講評をしなくてはならない「講評者」なのです。

つまり、真剣に訓練の様子を観察して、うまくいっていたか、参加者全員の前で発表しなければならないのです。


初体験なので、どんなことを話せばいいのか、よくわかりませんでした。

前日に救急隊の人が、訓練の詳細と私の出番について、わざわざクリニックに説明に来てくれました。

ちょっとだけ、感想を述べてもらえばいいとのことでしたが、参加者をみると、救急隊のかただけでなく、救急専門の病院の先生や、医師会の先生、看護師さんや警察の人たちまでくるとのこと、ちょっとはまともなこと話さなければならないと思い、前夜に話の内容をある程度考えてから臨みました。


さて、当日、13時半から開始のところを15分ほど前に会場に着くと、すでに大勢の人が会場にいて、救急車や消防車、カメラも数台容易されていました。

こんなたくさんの人々の前で私が代表して話するなんて、緊張して舌を噛むんじゃないかと思うと、ますます心拍数があがるのでした。


「講評者」と書かれたチョッキを来て、立っていると、13時半になりいよいよ訓練が始まりました。

救急隊本部に指令が入り、救急車や消防車が会場に入ってきて、ものものしい雰囲気となります。

傷病者役に看護学校の学生さんたちがたくさん参加していました。
すでに倒れて苦しんだふりしたり、真っ青の顔色の悪いメイクをして横たわっていたり。
足を痛がって倒れている人のその足には真っ赤なテープがはられて、出血している雰囲気を醸し出していたり。
結構リアルな設定です。

そこへ救急隊の先発隊がかけつけて、つぎつぎに傷病者の状態を確認して、トリアージをしていきます。

まず、軽傷者や無傷被災者に緑のトリアージタッグをつけて現場から移動させ、そのあと重傷者の処置とトリアージをしていきます。


一方、警察官がかけつけて、意識のある人に事故の状況を聴いています。

少しずつ重症の傷病者を広いところに移動させ、医療関係者や救急隊のかたが、点滴や止血などの処置をしながら黄色や赤のトリアージタックをつけていきます。

一方指令室では搬送先病院を当たって連絡していく、といった段取りで訓練は進んで行きました。


みなさん真剣に、訓練に取り組んでいらっしゃいまして、ものものしい雰囲気が伝わってきて、あっという間の45分でした。


最後に疑問に思ったことが、いくつかありました。

最初から横たわってびくともしなかった傷病者がいたのですが、そちらの人を放っておいて先に足や腰など痛がっている人の処置をしはじめたのはなぜ?

警察の人が、比較的重傷者で痛がってる人に、意識がしっかりしてるからといって、わざわざ事情を聞いていたのはなぜでしょうか。無傷の被災者やごく軽傷者に聞けばいいのに。

また、訓練の最後のほうでは、救急隊の人が、たーくさん傷病者のまわりにいて、処置してる人はほんの少しだけでしたが、その他大勢の人は呆然とみているだけに見えました。異常事態なのに呆然としているのは、とても違和感を感じました。

以上が私の辛口な観点からの感想です。

そして、最後に皆さんが整列して集合され、私が壇上に呼ばれて、講評を述べさせてもらいました。

内容は以下です。


本日は、消防隊・救急隊の皆様、警察のかた、医療関係者のかた、そして被災者役になっていただいた看護学生のみなさん、ご苦労様でした。
 ご存知のとおり、昨今高齢者の運転者が操作をあやまって、人がなくなるという痛ましい事故が相次いでおりますが、そのような事故を想定して、皆さん真剣にこの訓練に取り組まれていたと感じました。
 今回は、新しくできた浄水交流感で初めて訓練であり、救急隊・消防・警察・医療関係の合同の訓練だったこと、など初めてのとりくみが多かったので、とまどったかたもいらっしゃったかと思いますが、みなさんてきぱきと、滞りなく訓練が行えたと思いました。
 この訓練をもとに、一人でも多くの方の命が助かりますよう、これからも訓練にとりくんでいただきたいと思います。
本日は本当に皆様おつかれさまでした。


と、玉虫色の講評で締めました。。。


すべてが終了して、解散となったあと、なんとある地元新聞社のかたが、私のもとにきて、今私がしゃべっったことを、記事に載せていいか、と聞くのです。

いいです、と返事し、名前と肩書きを聞かれて、「医師会・救急担当理事の楠瀬睦郎です」と答えました。

記事に載るなんて光栄だなぁ、と一瞬思ったものの、すぐにしまった、何故そのことを、皆さんの前で話する前に言ってくれなかったんだよと思いました。

もう少し、いい文章考えたのに、流暢に話せるようもっともっと練習したのに・・

そして、もっと後悔したのは、どうせ新聞に載せてくれるなら、「むつおクリニック 院長 楠瀬睦郎です」と載せてもらいたかったなぁ、いい宣伝になったのに。

と、えげつないことまで頭に浮かんでしまいました。

でも、無事に終わったことを、ヨシとしなければいけませんね。