頭痛学会の講習会(Headache Master School Japan)に参加するため、岩手県盛岡市に行ってきました。
小牧空港を発ってから、飛行機はずっと雲の上を飛んでいて、下界の様子はさっぱりわかりませんでしたが、岩手県の花巻空港上空に到着して雲の下におりてくると、そこは一面の畑と山ばかりでした。
いつも、豊田市の、のどかな景色を見慣れている私ですが、岩手県は比べ物にならないくらい、のどかなところでした。
そして、空港のロビーで、職員の若い男性にバス乗り場を教えてもらったところ、とても丁寧に案内してくださいました。
イントネーションは思ったより訛ってないのです。
でも、話をしていて気がついたのですが、岩手の言葉はいたるところに過去形が使われるんですね。
つまり、現在のことなのに、過去形のように、語尾が「~ました」とか「~でした」って話されたのです。
バスの乗り方を教えてもらうとき、「右にまがって・・」というところを、「~を右にまがりました」、 「出口にでます」が「出口にでられました」などなど。
これから私が行動するのに、過去形で話すとはいったいどういうこと?
あとで調べたら、岩手の人は現在のことを、現在完了形のように話すんだそうです。
標準語では、「です」「します」と、はっきりと話すところを、「でした」 「しました」 と話すことで、控えめに丁寧な表現になるんだとのこと。
なるほどなぁ、東北の言葉も奥深い、って思いました。
思えば、コンビニの店員さんが、「ご注文は以上でよろしかったでしょうかぁ」って言うのが、おかしな日本語だと話題になりましたが、きっと岩手県発祥なのではないかと思いました。
盛岡に着いて、ビジネスホテルにチェックインすると、さぁ飲みに行こう!
っと普段のお泊りであれば、いつもそうなるところでしたが、今回だけは、しっかり聞いて頭痛の勉強をしなければなりませんから、ちょっと一杯にとどめて、おとなしくホテルに戻りました。
というのも、翌日の講義のあとに、講義内容に関する試験があるので、真面目に聞かなきゃいけなかったんです。
試験に落ちたら、頭痛専門医にもなれませんし、何のために岩手まで来たのか、飲みに来ただけでしょってことになっては、情けないですから。
今回は真面目な自分が、不真面目な自分に勝ったようです。
よく休んだので、翌日はすっきりして、朝から講義にのぞみました。
毎年参加すると、頭痛の解剖学や生理学の話はさっぱり理解できませんが(講師の先生ごめんなさい)、臨床に即した話はとても興味深く拝聴させていただきました。
印象に残った話を並べますと・・
頭痛の患者さんは、雨の日の前日に発作が多いようだ、それはどうやら気圧と関係があるらしいとのこと。
だから、梅雨時は頭痛の患者さんが多くいらっしゃるらしい。
でもどうして気圧の変化と頭痛と関係があるのかは、やっぱりわかってないらしいです。
ときどき偏頭痛が起こる患者さんが、慢性頭痛に移行することがあるということはよく知られていて、頭痛薬とくに市販の頭痛薬の乱用がまずい、ということがわかっています。
閃輝暗点などの前兆があった人が、前兆がなくなってきたり、拍動するような頭痛だった人が拍動が消えて一日中痛くなったりしたら、慢性化してくるサインですから気をつけましょう、とか・・
慢性頭痛の苦しみから、患者さんを抜けさせるのは、なかなか至難の技です。
慢性化する前に何とかする方法とは・・(それはまだ秘密です)
頭痛で最も怖いことの一つは、くも膜下出血を見逃すことです。
見逃したら命取りですから、私の施設では、すぐ頭部CTを撮ってしまいますが、CTやMRIを撮るべきか撮らぬべきか、悩むことがあります。
こういう症例は検査したほうがいい、という詳しい基準がカナダの学会で発表されたそうですが、その話もよく話題になっていました。
最後に最も参考になった話。
肩こり・首こりは、外国人にくらべて日本人にとても多いそうで、頭痛の大きな原因となりますが、それを軽くする頭痛体操があるのだとか。
これには、ふだん肩こりのひどい私にとっては、とっても参考になりました。
愛知県に帰って来て、診察の合間に、さっそくこの体操をちょくちょくやっていましたところ、肩こりが何となく軽くなったんですよ。
これ、薬ものまずに健康にも経済的にもいいって思いました。
(診察室の裏で体操しているのを見た看護師さんには、引かれましたが・・)
頭痛体操ですが、もう少し自分で実践して、その道を極めてから、皆さんにもお伝いしたいと思います。
乞うご期待!
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