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院長ブログ

認知症の講演会

2016年3月19日
先日、ある高名な精神科の先生の、認知症についての講演を聴いてまいりました。

難しい話ではなく、診療所の医師向けに臨床にそって、症例を交えながらのお話でした。

私は、夜7時半からの講演会に15分も遅れてしまい、途中から話を聞いても、ついていけるのかなと心配でしたが、とてもわかりやすく、すぐその先生の講演に聴き入ってしまいました。


特に、単なる健常な人の物忘れと認知症の違いについて、勉強になりました。

診察では、患者さんにいろいろな質問をなげかけます。エピソード記憶を呼び起こすためです。

今日は何日ですかとの質問では、1-2日のずれは、問題はありません。(私でも答えられないことがあります)

でも、今は何月か、季節はいつか、答えられないと問題です。


また、朝ごはんのメニューを聞くと答えられないのは問題ないが、食べたのに食べてないと答えるのは問題。

子供の数がわからない、今居る場所がわからない、のも問題ありです。



また物忘れに関してですが、昨日言ったことを忘れてしまうのは問題ないのですが、つい数分前に行ったことを忘れるのは問題です。

また、認知症の人の態度は、その人に質問すると、答えたあとに、一緒に居るご家族に振り返り、確認を求める。

質問に答えられないと言い訳をし、さらに取り繕う。
そして最初に言っていたことが、取り繕い取り繕いで、わけがわからなくなり、最初の話と全く違った答えに転換してしまう。

さらにひどくなると、考えようとしない、妻に向かって「お前が答えろ」といったりする。

以上のようなことに対して、病識がなく、自分は認知症であることを認めない。


日常生活では、ものを腐らせても冷蔵庫に置きっぱなしだとか、几帳面な性格だったのに掃除が雑になった、片付けをしなくなってちらかしっぱなしだとか、買い物をすると、計算もせずお札でボンと払ってしまい、財布は小銭だらけとか。

ほかにもいろいろ認知症の症例がでてきました。


その後の出席者の話し合いでの話題。

認知症のテストで、長谷川式スケールというテストがあることは、あまりに有名ですが、このテストを患者さんに医者が行うか、看護師さんが行うかという議論になりました。

医者がしたほうが信用できる、と言う意見もあれば、医者がやると患者がかしこまってしまい、うまく答えられなくなるから、看護師がやるべきだ、と意見がわかれました。
因みに当院では、看護師さんにお願いしています。そのほうが、患者さんがリラックスできますし、何より看護師さんを信頼してますし。


私は、講師の先生に、ふだん認知症がすすんでないか、日常診察で簡単にわかる方法はないかと、質問しました。

毎回長谷川式スケールをやってると時間がとられるうえに、だんだん患者さんが学習してきて、予期せず得点が上がってしまうのではないかと思うからです。

講師の先生は、質問することを3項目くらい決めておき、3ヶ月くらいの間隔で質問してみてはどうかとのことでした。

そこで私はさっそく、最近来院された患者さんに、「ここのクリニックの名前は?」「朝、ごはん食べましたか?」「今日は何月で季節はどうですか?」という質問を投げかけました。

また、認知症が高度でない方には、「今日は何かニュースありましたか?」 とちょっと難しい質問をしてみようと思います。


そしてご家族には、本人の病識はどうか、ふだんの生活や行動に変化がないか、など聞いてみます。


認知症予防薬は限られてはいますが、患者さんの変化を早く知って、薬のサジ加減を変えたり、場合によっては向精神薬を足したりすることもあります。

とにかく、患者さんとご家族の話に耳を傾けることが一番大事なんです。そして日常生活にちょっとアドバイスを与えてあげることが大事です。
と痛感しました。