患者さんのよくある質問にお答えいたします
頭痛、めまい、しびれなどでお悩みの患者さんからよくいただくご質問にお答えいたします。
こちらのQAは当院院長が
「とよたみよしホームニュース」という地域新聞に 連載していた内容になります。
ぜひ参考にしてください。
頭痛について
頭がとても痛いのです。
大変な病気がかくれているかもしれません。
まず専門医の診察をうけ、頭痛の原因を診断してもらいましょう。
市販薬をつい飲んでしまいますが、いいでしょうか?
薬を乱用して、かえって頭痛がひどくなることがあります。頭痛は、ふだんの生活習慣や運動等で、改善することもあります。適切な対処法を指導してもらいましょう。
どのような症状の時、病院に行けばいいですか?
突然の激しい痛みにおそわれた、もどしてしまった、日に日に痛みがますといった症状なら、一刻も早く病院へ行ってください。
症状によっては、早急に頭部CTやMRIなどの検査が必要となります。
脈打つような頭痛について
頭が脈打つように痛いです。
片頭痛の可能性があります。頭の血管が拡張して起こると考えられています。 光ったものが見えたり、めまいがするなどの前ぶれがある場合、ない場合があります。
治りますか?
トリプタン製剤という薬が広く使われています。しかし高価で、副作用もありうる薬ですので、頻度の多い人には予防薬が使われることもあります。
予防はできませんか?
誘発される原因として、酒(特に赤ワイン)やチョコレートなど、ストレスや睡眠不足、月経周期や気温の変化などがあります。バランスよい食事を規則的にとり、睡眠を十分にとることで、予防に役立ちます。
肩こりを伴う頭痛について
肩がこって、頭がしめつけられるように痛みます。
おそらく頭周囲や肩の筋肉が張ることによる緊張性頭痛です。
原因は?
パソコン等でうつむいて作業していると、原因になります。肥満・運動不足、睡眠障害やストレス等の精神状態も関係します。
頭痛薬を服用すればいいですか?
頭痛薬は週2~3回までならよいですが、常用すると頭痛がひどくなることがあります。かといって、頭痛がよくならないと、それがストレスとなり、さらに頭痛が悪化します。そのような人に、不安や筋緊張を和らげる薬を薦めます。普段の姿勢を正し、適度な運動、体操、マッサージ等の理学療法も改善につながります。
めまいを伴う頭痛について
目が回ります。
ぐるぐる回るめまいの多くは、耳の奥の内耳に原因があります。しかし脳の病気が原因で起こることもあり、後遺症が残ったり、命に関わることもあります。
脳の病気とは?
脳の中でも後ろの方にある小脳や脳幹部の疾患が疑われ、脳梗塞や脳内出血だと、急激に状態が悪くなることもあります。
どうしたら見分けがつきますか?
症状から見分けることは難しい場合があります。めまいとともに難聴や耳鳴りがあれば内耳の障害が考えられますが、頭痛(特に後頭部痛)や言語障害・手足の麻痺(まひ)などの神経障害があれば脳の病気が疑われます。その場合はすぐに脳神経疾患を診てもらえる医療機関にかかりましょう。
しびれを伴う頭痛について
右手足がしびれます。
左の脳に問題がある可能性があります。特に腕全体がしびれる・力が入らない・足が前にでない・足がもつれる・言葉も何となくおかしい、などの症状があれば、脳疾患の可能性が大きいと考えられます。
脳の病気以外では?
手や腕の一部とか足の外側だけとか、足先・手先だけといった部分的なしびれ症状の場合、脳疾患でない可能性があります。また脳の病気で、両手がしびれるということは、ほとんどありません。脊椎の疾患や糖尿病が原因だったりします。
すぐに病院に行ったほうがいいですか?
症状が突然現れたら、脳卒中の可能性もありますから、すぐ医療機関にかかってください。
発声障害を伴う頭痛について
ろれつが回らないのですが。
「ラリルレロ」や「パピプペポ」が、うまく言えないときは脳に問題があるかもしれません。ろれつが回らないといっても、低血糖など意識障害の初期症状だったり、服用している薬の副作用だったり、思わぬ病気がみつかることもあります。
言葉が出にくいときは?
失語症と言って、左の脳の症状かもしれません。人の言葉が理解できないタイプの失語症もあり、認知症と勘違いされることもあります。脳の検査が必要です。
早く病院に行くべきですか?
言葉の障害は脳と関係がありえるので、たとえ一時的に症状が出て良くなった場合でも、早く医療機関に行かれることをお勧めします。
視界不良を伴う頭痛について
目の前が真っ暗になったら、脳卒中の前ぶれですか?
片方の目が真っ暗になったのなら、脳に血流を送っている頸動脈がつまりかかっているかもしれません。頸動脈は脳に血液を送る前にまず目に血液を送るからです。しかし両目が真っ暗になったら、心臓の病気や低血圧を起こす病気が考えられます。
視野の右側が見えなくなりました。
両目とも右側の視野が欠けていれば、左の脳の後ろの部分に問題があるかもしれません。
チカチカ光ったものが見えることがあります。
そのあと頭痛があれば、偏頭痛の発作と思われます。チカチカしても頭痛がない場合もあります。視野が欠けてなければ、様子をみてよいと思います。
意識障害を伴う頭痛について
急に意識がなくなり、しばらくして戻りました。原因は?
最も可能性が高いのは、自律神経が関係した失神です。寝不足で満員電車の中に立っていたり、炎天下で立っていたり、トイレで用を足した直後に立った時、気が遠くなった事はありませんか。また不整脈など心臓が原因のこともあります。
脳梗塞の前ぶれじゃないですか?
脳の血管が詰まりかかった場合、意識消失だけの発作は、意外に少ないです。むしろ脳の病気ではてんかんかもしれません。
意識ない人をみつけたら、どうしたらいい?
まず慌てないで、息をしているか脈があるかを確認して、顎を持ち上げるなど気道を確保し、救急車を呼びましょう。
物忘れについて
最近、物忘れがひどくて。
人や物の名前など、忘れることはだれにでもあります。でも、日課がこなせなくなったり、ヒントを与えられても思い出せなかったり、季節や日時が混乱してきたら要注意です。また症状が進行してきたら、医師の診察をうけるべきです。
認知症は治せますか?
まず、脳の画像診断が必要です。腫瘍や血の塊、脳に水がたまる病気など、手術で治せる疾患もあるからです。異常がなければ、認知症の進行をとめる薬もあります。
認知症を予防するにはどうしたらいい?
閉じこもらず人と交わること、散歩などちょっとした運動をすること、目標をもって何でもやってみることを心がけてください。
脳卒中について(その1)
脳卒中にならないためには、どうしたらいいですか?
脳卒中の原因はいろいろありますが、三つあげるとしたら、高血圧・糖尿病・喫煙です。これらを予防することです。
では具体的にどうしたらいいでしょう。
適度な運動、バランスの良い食事、ストレスのない規則正しい生活です。なるべく歩いて移動するなど、ちょっとした工夫でかわるものです。
どうしたらタバコはやめられますか?
喫煙は脳卒中だけでなく、がんなど万病の元です。禁煙治療では、タバコを吸わなくても我慢できるような薬を服用します。でも薬に頼らなくても、周囲の人や家族のためにやめるという目標があるとやめられるのではないでしょうか。
子どもの頭の打撲について
子どもが頭をぶつけました。気をつけることは?
子どもは頭を打撲した後、吐くことがよくありますが、何度も吐くときは問題です。一時的に気を失ったり、何となくボーっとしている時もすぐ病院にかかってください。
頭から血が出たから、脳は大丈夫って祖母が言ってました。
そんなことはありません。皮膚から出血していても、脳や骨に問題があることはあります。
脳震とうのとき安静は必要ですか?
意識消失があったり、当時の記憶がない、吐き気があった、物が二重に見える等の症状は脳震とうと思われます。特に柔道などの格闘技は、一週間は絶対安静です。その後、特に症状がなければ軽い運動から始めてください。
脳卒中について(その2)
脳卒中になってしまったら、もう終わりですね?
そんなことはありません。脳には可塑性があり、神経が変化して失われた機能が回復することがあるといわれています。少しでも症状が改善する可能性があるのです。リハビリをして、筋力がおちないようにすることが大切です。
再発するんでしょ?
再発予防の薬を服用したり、血圧や糖尿など生活習慣病が解決されていれば、再発の可能性は低いです。
今後気をつけることは?
うつになって閉じこもること、転倒して骨折すること、うまく飲み込めなくて誤嚥肺炎を起こすことが心配です。無理せず少しずつ、常に前向きに、リハビリを仕事だと思って生活してください。 今回でシリーズは終了です。ご愛読ありがとうございました。